札幌高等裁判所函館支部 昭和31年(う)154号 判決
道路交通取締法第七条において、酩酊運転等を無謀操縦として禁止した所以は、人の神経系に対し麻痺性を有するアルコールの摂取は、精神的統制を弛緩させ、車馬等の操縦を支配する外界刺戟伝達神経に影響を与え、その効果的支配を阻害し、操縦する者に要求される機敏な判断力や細心の注意力が減退、散漫になり、交通事故の発生原因となることが多いところから、このような酩酊運転を取締り、よつて事故の発生を未然に防止しようとしているものと考えられるから同条は、酒に酔い現実に正常な運転ができない場合はもちろん、必ずしも現実には運転する能力を失わないでも、酒に酔い一般的に見て諸車を運転するに必要な判断力や注意力を欠くおそれがあると認められる場合(当審で取り調べた資料によると、アルコールの人体に対する影響は、個人差はあるが、血液内のアルコール濃度が〇・〇五%になると多少影響をうける人があり、〇・一五%以上になるとすべての人が影響をうけることが認められる。)の操縦をも禁止しているものと解すべきであつて、原審および当審で取り調べた証拠を検討すると原判示事実を認めるに十分である。原判決には、所論のような事実誤認又は法令違反の違法はない。論旨は採用し得ない。
(裁判長判事 居森義和 判事 磯江秋仲 判事 水野正男)